「ジャージの二人」(集英社文庫刊)new! by 吉田戦車(かきおろし)
03年刊行の第3作品集。およそ文学的でないダウナー小説の先駆的作品。群馬の山小屋を舞台に低速な父子を描き、08年映画化(中村義洋監督)。長嶋曰く「小銭を稼いできてくれる」地味なロングセラー。
映画とまるで違う映像にしたいと、「中年のつぶつぶ髭」描画の天才、吉田戦車に依頼。題名自体に宿っていた漫画性をも拡張した、見事な戦車ワールドを展開。新たなジャージに瞠目せよ。
「佐渡の三人」(文學界07年1月号掲載)new! by オカヤイヅミ(かきおろし)
06年発表の単行本未収録作(12年刊行予定の第11作品集に収録予定)。
「社会」「因習」「無頼(自由)」のどれにも寄りかかれずにただよう家族の動きを描いた、長嶋「自選ベスト3」の一つ。
重要作に、あえて新人のオカヤイヅミを抜擢。背筋の曲がったような独特の描線で、「ただよう」不安定な気配が繊細にすくい取られた!
「サイドカーに犬」(『猛スピードで母は』所収/文春文庫)new! by ウラモトユウコ(かきおろし)→詳細
「サイドカーに犬」(『猛スピードで母は』所収/文春文庫)new! by ウラモトユウコ(かきおろし)
01年文學界新人賞受賞のデビュー作。07年には映画化され(根岸吉太郎監督)た人気作。
デビュー作なので、なおさら新人にお願いしようと、11年デビュー、同年に知り合ったばかりのウラモトユウコを抜擢。「新人枠」の限られたページ数で原作のエッセンスを大事に抽出! 夏休みと女性たちの気配が立ちのぼる漫画化となる
「十時間」(『祝福』所収/河出書房新社刊) by 萩尾望都(小説宝石11年11、12月号に掲載)→詳細
「十時間」(『祝福』所収/河出書房新社刊) by 萩尾望都(小説宝石11年11、12月号に掲載)
10年刊行の第10作品集に収録された(初出も10年)。北国の小さな社宅を舞台に、幼い姉妹の一晩の出来事と心の揺れ動きを微細に描ききり、翌年の川端賞を最後まで争った。
小説宝石誌上での漫画化計画連載はこれにて終了(あとは描き下ろし!)。つまり「トリ」でもあり、これが長嶋作品髄一の「少女」小説でもあることから、萩尾望都さんにお願いすることに。性格の異なる少女たちだけでなく、二人の存在する空間ごと見事に立ち上げるその筆致に息をのむ!
「パラレル」(文春文庫刊) by うめ(小説宝石11年7〜9月号に掲載)
04年刊行の第4作品集。90年代の東京を舞台に、交わりそうで交わらない=パラレルな夫婦関係と友情を果敢に描いた初長編。
文庫解説も書いた米光一成氏を通じて親交が始まったことや、(主に)東京が舞台で、主人公がゲーム作家であることなどからごく自然に「大東京トイボックス」が人気のうめさんに依頼。クールな絵柄と、対照的に泥臭く悩む人物とが、まさに「パラで」走り出す!
「泣かない女はいない」(河出文庫刊) by 小玉ユキ(小説宝石11年4〜6月号に掲載)
05年刊行の第5作品集(の表題作)。長嶋作品には珍しい恋愛小説でファンも多い。二十世紀末の埼玉で働く地味な男女の、恋にまつわる心の移り変わりを微細に描きだした。
小玉ユキ氏は以前から長嶋作品を愛読し、特にこの作品を漫画化したいと思っていたということで、願ったりかなったりでの依頼。独特な黒目の大きさで人物は意思を宿らせ、少女漫画の色香を得て、従来の読者は悶絶、新たなファンもさらに増えそう!
「エロマンガ島の三人」(文春文庫刊) by 陽気婢(小説宝石11年1〜3月号に掲載)
07年刊行の第7作品集(の表題作)。エロマンガ島でエロ漫画を読むという下らない企画旅行に出向いた編集者の実話をもとに描いた異色の南国小説。
「その漫画化なれば、ぜひエロ漫画家に」と、女性ファンも多い陽気婢氏に依頼。かわいく色っぽい女性キャラだけでなく、氏ならではの等身大で押しの弱い男性キャラクター陣もピタリとはまり、ドタバタと静けさの両立した南国世界が見事に再現された。
「女神の石」(『エロマンガ島の三人』所収/文春文庫) by 100%ORANGE(10年8月号掲載・全1回)→詳細
「女神の石」(『エロマンガ島の三人』所収/文春文庫) by 100%ORANGE(10年8月号掲載・全1回)
07年刊行の第7作品集に収録された短編(初出は01年)。長嶋作品には珍しいSF小説。
かつて連載エッセイ『安全な妄想』でコンビを組んでいた100%ORANGEに(連載の再開を機に)、「小説の漫画化も!」と依頼したところ、ニコニコしながらハードな設定の異色作をヒョイと選んだ。長嶋作品史上最短で訪れる「不意打ち」を、既存の漫画にはない、100%作品ならではの「不思議な短さ」で、さらにビックリ&ピッタリと漫画化!